1-2 多言語災害情報システムの利用開放
GAJaは、緊急のアラート(警報)や、救援、復旧といった情報を外国人にも伝えるのに、①日本語のメッセージをあらかじめ用意し、②その日本文を多数の言語に翻訳しておいて、③日本文のメッセージを選択すると翻訳文も併せて端末に届くようにし、④届いた多言語のメッセージの中から自国語を選択表示するシステムを開発しています。本年(2016年)4月に発生した熊本地震の被災地への支援にも、本システムを活用します。
情報の入力部分はクラウドサービスを利用し、出力部分はスマートフォンアプリ(アンドロイド版とiOS版)を利用するので、次の大規模災害発生に備えようとする全国各地の地方自治体に汎用性があるよう作られているシステムです。
日本人には日本語で、外国人にはその利用言語で、彼らが常に携帯しているスマートフォンに情報を届ける仕組みには、高い情報到達力があります。多言語といっても、その入力は日本文で選択することができるので、操作に特別なスキルは必要としません。
日本人だけでなく、外国人住民、さらには外国人旅行者にも届くようなシステムの導入が進めば、災害情報提供の多言語対応が全国的に進みます。クラウドを利用しているので、利用する地方自治体の数が増えても費用はあまり変わらず、防災の目的だけでなく平時の行政情報サービスや観光振興にうまく利用できれば、安定的に「自走」していく仕組みが生まれます。
GAJaは、地方自治体や大学、大使館・領事館等とともに、多言語災害情報システムの改良やメッセージ文例の充実のための実証を2016年夏から計画しています。2020年には20か国語に対応し(現在、日本語を含む7言語)、メッセージの数も700文例(現在、地震を中心に330文例)を有するシステムを目指して充実・強化を図ります。
システムを利用開放すれば利用は増えるでしょう。しかし、それだけでは、社会実装はなかなか進みません。スマートフォンユーザがアプリをダウンロードしたいと思うような価値を創造することが社会実装の要です。その道のりが、GAJaの道のりです。